経営相談Q&A
「妻は役員?それとも従業員?」夫婦で会社を経営するときに考えたいこと
新しく法人を設立する際に悩みやすいのが、配偶者を役員にするのか、従業員にするのかという問題です。
どちらがよいかは、単純に税金だけでは決められません。
今回は、法人化を予定している社長との面談から、夫婦で会社を経営するときの報酬や働き方についてお話しします。
社長
法人化したときに、妻を役員にするか従業員にするかで迷っています。
今も事業の一部を担当してもらっているんですが、従業員の方が給与を柔軟に変えやすいのかなと思っていて。
税理士
実際にどんな仕事を担当されるのかにもよりますが、確かに役員報酬は、一度決めると期中に自由に変更しにくいところがありますので、報酬の柔軟性を重視するなら、その点は違いになりますね。
社長
自分一人で役員報酬を取るより、妻にも給与を分けた方が税金は安くなるんでしょうか?
税理士
税金だけを見ると、一人に所得を集中させるより、二人に分けた方が全体の税負担が下がるケースはあります。
ただし、奥様にほかに所得があるかどうかといったことも関わってきます。
また、単純に「税金が安くなるから分ける」というより、実際にどのくらい働いてもらうのか、その仕事に対してどのくらいの給与が妥当なのかも前提として考える必要があります。
社長
社会保険料も、二人に分けた方が安くなりますか?
税理士
社会保険料については、単純に一人分を二人に分ければ大きく下がる、というものではありません。
扶養についてや、労働保険の論点もありますね。
「所得を二人に分ければ全部安くなる」と考えると、思っていた結果にならないこともあります。
社長
従業員にしておけば、普通の従業員と同じように補助金や税制の対象にもなりますか?
税理士
そこは注意が必要です。
制度によっては、社長の配偶者など、一定の関係者について、従業員という立場であっても対象人数に含められないものがあります。
例えば、賃上げに関する税額控除や補助金・助成金などを検討するときは、制度ごとに対象者の条件を確認する必要があります。
社長
じゃあ、役員か従業員かは、税金だけ見て決めない方がいいんですね。
税理士
はい、今後、奥様にどこまで会社の経営に関わってもらうのか、どんな仕事を担当してもらうのか、そういった実際の役割を先に決めて、そのあと税金や社会保険への影響を見るという順番の方が考えやすいと思います。
「役員か従業員か」の前に、どんな役割を任せるかを考える
ご夫婦で会社を経営する場合、役員にするか従業員にするかは気になるところです。
ただ、肩書だけを先に決めるのではなく、
- どんな仕事を担当してもらうのか
- どのくらい会社の経営に関わるのか
- 報酬をどのように決めたいのか
- 税金や社会保険にどんな影響があるのか
- 利用したい税制や補助制度の対象になるか
を合わせて考えることが大切です。
今回のポイント
- 配偶者を役員にするか従業員にするかは、実際の役割から考える
- 役員報酬と従業員給与では、金額変更のしやすさに違いがある
- 所得を夫婦に分けることで税負担が変わる場合がある
- 税金と社会保険料は分けて考える
- 親族従業員は、一部の税制や補助制度で対象外になることがある
※この記事は、実際の面談内容をもとに、個人や会社が特定されないよう一部編集・一般化しています。役員・従業員の取扱いや、税金・社会保険・各種制度の適用は、実際の職務内容や個別の状況によって異なります。