経営相談Q&A
「個人事業のままでは限界?」人を雇って事業を大きくしたいときの法人化
個人事業を何年か続け、売上も安定してきた。
そのまま続けることもできるけれど、これから人を雇い、拠点を増やし、事業をもう一段大きくしていきたい。
そんなタイミングで、「そろそろ法人化した方がいいのでは?」と考える方は少なくありません。
今回は、長く個人事業を続けてきた社長との面談から、事業を成長させるタイミングで法人化をどう考えるかについてお話しします。
社長
今まで個人事業で長くやってきたんですが、これからもう少し事業を大きくしていきたいと思っています。
人も雇って、ちゃんと育てて、少しずつ拠点も増やしていきたいです。
税理士
なるほど。
法人化そのものが目的というより、人を雇って組織を作り、事業を広げていくための次のステップとして考えているんですね。
社長
そうですね。
今は自分が中心になって現場を回しているんですが、このままだと増やせる拠点にも限界があると思っています。
税理士
拠点を増やしていくなら、社長ご自身が全部の現場に入る形ではどうしても限界がありますよね。
各拠点に責任を持って任せられる人を育てて、社長は少しずつ現場から離れて、マネジメントに比重を移していく必要があります。
社長
今も複数の拠点があるんですが、自分が片方に行っていると、もう片方が十分に稼働できない時があります。
なので、スタッフの育成はかなり必要だと感じています。
税理士
まさにそこですよね。事業を大きくするには、売上を増やすだけではなく、「自分がいなくても回る仕組み」を作れるかが重要になってきます。
法人化は、その組織づくりを始める一つのタイミングとして考えることもできます。
社長
法人化したら、売上や利益の見方も変えた方がいいですか?
税理士
拠点を増やしていくなら、全体の売上だけではなく、拠点ごとの売上と利益も見られるようにした方がいいですね。
売上が大きく伸びても、人件費や家賃などの経費も一緒に増えて、利益が思ったほど残らないこともあります。
どの拠点がどれくらい利益を出しているのかを見られるようにしておくと、次の出店判断もしやすくなります。
社長
今までは、自分で売上や経費をExcelにまとめて、年に一度税理士さんに渡すような形でやっていました。
税理士
ご自身できちんと管理できているのはすばらしいです。
ただ、これから採用や拠点展開をしていく段階では、年に一度数字を見るだけでは少し遅いと思います。
毎月の数字を確認して、今どれくらい利益が出ていて、次の投資をしても大丈夫なのかを判断できるようにしておくことが大切です。
法人化はあくまで器を変えることなので、それだけで事業が成長するわけではありません。
ただ、採用・人材育成・拠点別の数字管理・資金計画など、今まで以上に「経営」を意識するきっかけにはなると思います。
これから社長が現場のプレーヤーから、組織を動かす立場に変わっていくなら、ちょうどそのタイミングなのかもしれませんね。
法人化は「税金」だけで決めるものではない
法人化というと、「どちらが税金が安いか」という話になりがちです。
もちろん税金も大切ですが、事業を成長させたい場合は、それ以外にも考えたいことがあります。
- 今後どれくらい人を増やしたいのか
- 社長自身はいつまで現場に立ち続けるのか
- 誰に現場を任せるのか
- 拠点ごとの採算を把握できるか
- 次の採用や出店に必要なお金を準備できるか
こうした「これから会社をどうしていきたいか」から逆算して、法人化のタイミングを考えることも大切です。
今回のポイント
- 法人化は節税だけでなく、事業の成長段階から考える
- 拠点を増やすなら、社長がいなくても回る仕組みが必要
- 人を増やすだけでなく、責任者を育てることが大切
- 多拠点化するなら、拠点ごとの売上・利益も管理する
- 年1回の数字確認から、月次で経営判断できる管理へ変えていく
※この記事は、実際の面談内容をもとに、個人や会社が特定されないよう一部編集・一般化しています。