経営相談Q&A
「銀行から見たうちの会社、どう見えている?」自己資本比率と債務償還年数の話
「銀行は、うちの会社の何を見て融資を判断しているんでしょうか?」
売上や利益だけを見ているように思われがちですが、金融機関はそれ以外にも、会社の財務状態をいろいろな角度から見ています。
今回は、実際の財務相談で会社の数字を一緒に見ながら、銀行から見た会社の財務状態についてお話しした内容をご紹介します。
社長
借入がかなり増えてきているので、銀行から今うちの会社がどう見えているのかが気になります。
税理士
金融機関によって見方は違いますが、一般的には自己資本比率や債務償還年数、利益の状況などを見ます。
今回の数字を見ると、借入の比率がかなり大きくなっていますので、「すぐに危ない会社」という意味ではありませんが、財務面では改善していきたい状態ですね。
社長
自己資本比率って、よく聞くんですけど、結局何を表しているんですか?
税理士
簡単に言うと、会社が持っている資産のうち、返さなくていい自分のお金がどれくらいあるかを見る数字です。
貸借対照表には、銀行などから借りたお金である負債と、自分で入れた資本金やこれまでに積み上げた利益でできている純資産があります。
この純資産の割合が大きいほど、一般的には借入への依存が小さく、財務的には安定していると見られやすくなります。
社長
じゃあ、借入は少なければ少ないほどいいんですか?
税理士
必ずしもそうではないです。
特に、広い土地や機械設備などが必要な製造業や、不動産業などのように、大きな資産を取得するために融資を活用する業種では、借入を使わずに事業を大きくするのは難しいですよね。
ですので、自己資本比率が高ければ高いほど絶対によい、というよりは、借入を使いながらも、返済できるだけの利益やキャッシュを確保できているかを見ることが大事です。
社長
もう一つ出てきた「債務償還年数」っていうのは何ですか?
税理士
ざっくり言うと、今の利益水準で借入を返していくとしたら、何年くらいかかるかを見る数字です。
実際の計算はもう少し複雑ですが、借入が多くても利益が十分に出ていれば返済能力は高いと考えられます。逆に、借入が大きいのに利益が小さいと、返済に長い時間がかかることになります。
今回のケースでは、借入が増えている一方で利益率が少し落ちてきているので、ここは改善したいところですね。
社長
この数字が悪いと、やっぱり銀行から借りにくくなるんですか?
税理士
金融機関は一つの数字だけで判断するわけではありませんが、財務状態がよい会社の方が、一般的には融資の判断をしてもらいやすくなります。
逆に、借入に対して利益が少ない、自己資本が薄い、資金繰りが不安定といった状態が続けば、金融機関側も慎重になります。
ですので、銀行対策というよりは、会社自身が安定して経営できる状態を作った結果として、金融機関からの見え方もよくなると考える方が自然です。
社長
今の会社だと、まず何を改善していくのがいいですか?
税理士
御社の場合ですと、まずは手元のキャッシュをきちんと確保することですね。
そのために経費を圧縮し、必要に応じて資産を売却しながら借入とのバランスを改善していく。
そして利益をきちんと積み上げていけば、その利益は純資産に積み上がっていきます。
自己資本が厚くなり、借入に対する利益も増えていけば、自己資本比率や債務償還年数といった数字も少しずつ改善していきます。
銀行のためではなく、会社を強くするために数字を見る
自己資本比率や債務償還年数は、金融機関が会社を見るときにも使われる代表的な財務指標です。
ただし、これらの数字をよくすること自体が目的ではありません。
大切なのは、
- 利益をきちんと出す
- 利益を会社に蓄積する
- 借入金とのバランスを整える
- 手元資金を確保する
- 返済できるだけのキャッシュを生み出す
という、会社そのものの財務状態を改善していくことです。
その結果として、銀行から見た会社の評価も少しずつ変わっていきます。
今回のポイント
- 銀行は売上や利益だけを見ているわけではない
- 自己資本比率は、資産のうち自己資本がどれくらいあるかを見る数字
- 債務償還年数は、借入を利益で返すのにどれくらいかかるかを見る目安
- 借入そのものが悪いのではなく、返済能力とのバランスが大切
- 利益とキャッシュを積み上げることが、結果的に金融機関からの評価改善にもつながる
※この記事は、実際の面談内容をもとに、個人や会社が特定されないよう一部編集・一般化しています。金融機関の融資判断や財務評価の方法は、金融機関や個別の状況によって異なります。